5月から8月にかけての日記と、その日記を後から読み直して追記した文章から成る日記集。
日々の出来事を書き記す日記を書くという営みのなかで、揺らぐ感情、激情を自らの眼差しを持ってして掬い上げる。
日記というジャンルを越えて、筆者自身の対話に遭遇しているようでもあります。
過去の日記のなかの自分に向ける、現在の自分の眼差しが、ときに反目し、ときに交錯し、ときに重なり合う。
主観と客観を行き来して、日記を書くという営みは本来こういうものだったのかもしれないと、思い出させてくれる一冊です。
個人的には、印刷技法にこだわった表紙、モノクロなのに色鮮やかに見える文字色、そして写真配置と文字組みの妙など、製本への愛とこだわりを感じられるのもポイントだと思っています。
『水面に灯る実』
著:永峰沢
版型:B6
本文:58P / モノクロ
税込 ¥1,200 (送料別)