9歳から24年間、難病の母の介護を担ってきた筆者の経験と、その後の生活の記憶をまとめた一冊。
「ヤングケアラー」当事者としての感じられてきたことが、等身大の言葉で綴られてます。
また、その後の当事者活動や支援活動での視点も踏まえて語られていることもあり、決して軽くないテーマではありますが、ひとつの講演を聴いているような、読みやすい語り口でもあります。
ケア生活が終わればそこで終わりということではなく、その後も続く生活のなかで、どう生きていくのか。
あるいは、そこに至るまでの道のりのなかで、どう生きるのか。
深く難解な問いかけを示す一方で、深い愛情をなぞる一冊でした。
他者へのケアと、自分自身へのケア。他人事と片付けることはできない、誰しもいつかどこかで直視しなければならない事柄かもしれません。
最後に、弊店で取り扱うきっかけになった、本書のなかの学生時代のある一節を引用します。
『誰かが悪いとか、どうなってほしいわけではないからこそ、「無に還りたい」という漠然とした思いがゆるやかにあり続けた。(中略)自分には帰る場所がない。家にいても、学校にいてもーー。いつもそう思っていた。』
弊店は、そんなときのために喫茶店をやっています。
この一冊が届くべき人のもとに届く手伝いができたならば、私が喫茶店をやっていることにも意味が生まれるというものです。
『子どもでいられなかったわたしたちへ ヤングケアラー「その後」を生きる』
著:高岡里衣
版型:127×188mm
本文:248P / モノクロ
税込 ¥2,090 (送料別)